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★勝負(バトル!)
【Metal Dogs】はアイドルバンドへ転進ってことですか?」
冷静な問いはドラムのブレダから。
「エドワード君、かわいいからきっと売れますよ。これから宜しくね。エドワード君」
暢気なのは若干天然のきらいがあるキーボードのフュリー。
「これだけ素材が良いと、衣装選びに力が入るわね。」
これまでは適当だったのかと、脱力したくなるコメントを述べるのはマネージメントを担当するホークアイで。
そしてぶすっと表情をゆがめたエドワードが答える。
「俺はアイドルになりに来たわけじゃねえよ。ロックをやりに来たんだ。そこののっぽ!あんたがこのバンドのボーカルなんだろ?タダでその座を譲れとは謂わねえ。俺と勝負しろっ!」
「へ?」
「面白い。私がジャッジしてやろう。何、音楽に関して私は嘘は言わないよ。【Metal Dogs】の曲で知ってる曲はあるかね?エドワード。」
「ん、多分。」
「では、その曲を歌い比べてもらおうか。」
一応、これまでプロとしてやってきた自負のあるハボックである。さすがに昨日まで地方のライブハウスで歌ってましたというアマチュアに勝負を申し込まれても。。。と言う気持ちはあっさりと無視をされるらしい・・・。
一応、お手本のつもりで、ハボックは先に歌った。ソングメイクはプロデューサのマスタングが行っているが、さすがに自分の持ち歌だし、ギターに関しては割りと自信がある。歌・ギター共にパーフェクトだ。
「じゃ、歌ってみ。」
エドワードの番になって、当然、ギターは弾いてやるもんだと構えていると、エドワードはどうやら抱えてきたらしい自分のギターを取り出した。
「オレも、ギターやるんだ。」
エドワードが歌いきると、スタジオには沈黙が流れた。マスタングだけが満足そうに笑みを湛えている。
「あれ?下手くそだった?」
「そんなことないよっ!エドワード君、すっごい上手だねえ。僕感動しちゃったよ。」
フュリーは眼鏡を外して涙を拭う。
「社長が連れてこられると言うことは、相当だと思っておりましたが・・・」
あまり感情を表に出さないタイプのホークアイも感嘆といった表情を浮かべている。
「ハボ。残念だったな。なに、お前さんの腕だ。すぐ次のバンドも見つかるさ。」
おい、10年来の友情はどうなったんだ。相棒よ。
ハボックとブレダは同郷の友だ。音楽を志し、共に田舎を出た仲間なのに。あまりに変わり身が早すぎはしまいか。ハボックは心で涙した。
だがしかし。確かにハボックにはかなわない、聴くものの心を打つ歌声。オマケにギターの腕まで確かとあっては・・・。なにより太刀打ちできないオーラがエドワードにはある。カリスマ的な何かが。
「そういうわけだ。ご苦労だったな。ハボック。」
あー。この人に振り回され続けて、3年間。最後まで振り回されたな。
いまから田舎のかあちゃんに電話しよう。家業の雑貨屋を継がせてもらわにゃぁ。地元で嫁をもらおう。マリアはまだフリーかな。
無駄に諦めが良い男、ハボックの頭はこれからの人生設計でいっぱいで。
だから、エドワードの言葉の意味がすぐには分からなかったのだ。
「ツインギターがいい」
おまけ。
「エドー。お前、そういやさあ、あの曲、何で知ってたんだ?」
一応プロではあるが、そう人気のあるバンドではない【Metal Dogs】。地方の高校生だったエドワードが曲を知る機会はそうそうないはず。
「1回聞けば覚えるんだよっ。」
「ふーん」
後日、マスタング家に用意されたエドワードの部屋に大量に持ち込まれたCDのなかから発見されたのは、【Metal Dogs】のアルバム全3枚。ご丁寧に極少発行部数だったバンドスコアまで発見された。
「あんたのギターが好きだったんだよ。日本でここまでテクのあるやつはいねぇって」
顔を真っ赤にしてハボックのファンであることを告白したエドワードの次の台詞によって、ハボックはマスタングから公式に敵と認定されることになる。
「大体、いたいけな高校生が、こんな怪しいおっさんについて行くわけねぇだろ。【Metal Dogs】のプロデューサやってるっていうからついてきたんだ」
ほー、私のエドワードにそこまで想われていたとは幸せだなあ、ハボック。と嫉妬心丸出しのマスタングがいたとかいないとか。
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