ラブドロイド3






清々しいくらい冷静な突っ込みを見せて、出来立てほやほやカップル?は微笑み合った。がっくりと肩を落とす上司をまるで無視して、二人はどうやらデートの約束を始めたらしい。

「こないだ美味しいケーキの店を見つけたんだけど。今度どう?」
「あら。今すぐにでもOKよ。実は今日は午後から非番だったの。どこかの無能な上司のせいで、なかなか帰れなかったのだけど。」
「んじゃ決まり。よろしく大尉。」
「あら。せっかくだからリザってよんで。」
「OK。リザ。」

仲良さげに腕を絡ませながら去っていく即席な恋人たちの背を眺め。
楽しげな2人を口惜しげに見送るへたれ上司に、こんな胸のすくような一日もあるのだなぁとハボックは思う。

「・・・わたしは、もう少し仕事をして帰る。」

(どっちでも良いからさっさとものにしておけば、こんな目に遭わないものを。)

口にすれば燃やされそうな言葉をわざわざ言うまでもなく。ハボックは同情の目を上司に向けるのみに留めた。



+++


副官と同居人の仲睦まじそうな様子を気にしつつも、マスタングは珍しく片付いていた書類仕事に精を出し、明日に残す書類がもはや一枚もないという状態まで机の前で粘った。
それでもまだ22時という、大人の恋人達の帰宅時間としてはまだ少しだけ早い、微妙な時間に帰宅の途につく。

自分ならば。
カフェでお茶をして16:00。
街の散策がてらショッピングに付き合い18:00。
眺めの良いレストランで食事をして20:00。
少し暗めの照明の雰囲気あるバーで軽く酒を飲んで22:00。
そして、そして、その後は。
時間をかけた分、甘くなった空気をそのままに。
どちらともなくホテルへと足が向かうのだ。

(今頃は・・・)

脳裏に浮んだ趣味の良い小さなホテルのエントランスへと消えてゆく二人の姿にぐっと眉を顰める。妄想に囚われるあまり、たどり着いた自宅の窓から明かりが漏れていることにすら気がつかず、マスタングは無意識の動作でポケットから鍵を取り出した。

ガチャリと扉を開たその先には・・・



・・・居ないはずのエドワードが、エプロン姿にお玉を持ってキッチンから顔を覗かせていた。



+++


「よう、お帰り。ロイ」
「・・・」
「どうしちゃったんだよ。」
「いや。大丈夫だ。」

マスタングは混乱していた。
どうして先に帰っているんだ。大尉とはどうなったのか。
聞きたい事はいろいろとあったが、丁度料理が出来たところだと、笑顔で夕食の席に案内され、よかったら食べてくれよ。それとも食事は済ませてきた?などと、首をこくりと傾げて問われれば、食事に手をつけないわけにはいかない。

「ケーキの店を教えたお礼にってさ。大尉にレシピを教わったんだ。あんた、鳥の料理、好きだろ?」

そう、柔らかい顔で微笑まれて。
マスタングは唐突に自分の心を知ったのだった。




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