ラブドロイド4






出来ればずっと側にいたかったんだけれど。
いつかはきっと。

そんな顔を見てしまったから。
溢れんばかりの愛おしさを込めた目で俺を見つめるその顔に、ついに「いつか」が来てしまったことを理解してしまった。
ましてや、めったに無い切羽詰った様子で抱き寄せられてしまったら。


「エドワード。私は君のことが・・」
「やめろっ!頼むから、何も言わないでくれ。」

自分はこの感情との付き合いがもう随分長かったから、自分も相手も周囲も誤魔化す方法などとうに身につけていたけれど。この男は、存外ストレートなのだ。もう一刻の猶予もない。

そう考えたら、家の外へと駆け出していた。



+++


ケーキを食べながら、ホークアイ大尉に以前から気になっていたレシピを教えてもらった。
錬金術師の好奇心は、何でも直ぐに試してみないと気がすまない。デートのお礼もそこそこに市場へ足を向け、必要な食材を揃えると調理に取り掛かった。

じっくりと煮込むスープがレシピのポイントで。

今日はそれほど書類が残っていないから。きっと少将も早くお戻りよ。
そんなホークアイの言葉を思い出しながら、鍋の前で家主の帰宅を幸せな気持ちで待った。

こうやってあいつの帰りを待つことが、嬉しい。

それはもうずっと隠してきた感情だった。

自分たちの旅をずっと見守ってくれた大人。
大人の与える庇護は等価交換という言葉では言い表せないものだと、口ではどんなに反抗しても分かっていた。
トラブルに巻き込まれて散々暴れた自分を嫌味タップリに叱責した後、「怪我はしていないようだな」と頭をくしゃりと撫でるその顔に、めったに見せる事の無い慈愛の情が浮んでいたいたことをエドワードははっきりと覚えている。「護られる」ことは不思議と不快ではなく、むしろ嬉しかった。
そうして、気がついた時には、その大人は心の中の一番深いところの住人になっていた。



+++


「エドワード!」

全速力で駆け出した筈なのに住宅街を抜け切る前にエドワードは腕を強く牽かれた。バランスを崩して倒れこんだ先は男の胸の中。これ幸いとばかりに両手で強く抱き締められた。

「離せっ。頼むから。」
「いやだ。君が話を聞いてくれると言うまで離さないよ。」

住民たちの帰宅時間はとっくに過ぎていて人通りは無くなっているものの、皆無になるわけではなく。さすがに道路の真ん中で男同士が抱き合う姿を目撃されるのは不味い。エドワードは、取り敢えず妥協して近くの公園まで移動することを提案した。

再びエドワードを腕の中に収めたマスタングが、エドワードの耳元で囁く。何も聞きたく無いとばかりに、固く目を瞑っても、甘く切ないテノールが耳に響く。結局エドワードはどんな言葉であったとしてもマスタングの声に耳を塞ぐことなど出来はしないのだ。

「君が好きなんだ。愛している。エドワード。」






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