ラブドロイド2






「俺さあ、結構いい線いってると思うんだけど。
背だって伸びたし、国家錬金術師は辞めちまったけど今だってそれなりに収入あるし。顔だって、アルみたく男前じゃないけどさぁ、一応血の繋がりがあるぶん、ほどほどには良い感じだと思うんだ。」


たまたま軍部を訪れたエドワードに捕獲されたハボックは、先日振られたばかりという彼のグチを聞かされていた。ほどほどなどと言っているが、ハボックから見たエドワードは「地位あり、金あり、容姿よし」。文句どころかお釣りが来たっておかしくない。ただひとつ、難点があるとすれば・・・それは、そこらの女性では太刀打ちできない「美人顔」にあると思っている。

テーブルに突っ伏した格好で上目使いに見上げてくるその顔はやたらと綺麗で、ハボックとしては、はっきり言って目のやりばに困る。少年の頃から黙っていればビスクドールのように秀麗な顔だちだったのだが、粗野な立ち振る舞いが人形じみた印象を打ち消してくれて、皆誤魔化されていた。ところが近頃ではどうだ。色気すら感じてしまうのは、ハボックばかりが責められるものではない。似たり寄ったりの所を皆、口に出さないだけなのだ。


(女の子だったら自分より美人な彼氏ってどうなんだろうな。
うーん。そうだな。例えば自分より男前な彼女がいたとしたら…)


エドワードの愚痴に返事も返さぬまま、ハボックが自分の想いに耽っていると、「エドワードくん?」と些か事務的な口調が特徴のクールビューティが、二人の居る休憩室に現われた。珍しいが馴染みの来客を認めると、あまり表情を動かさないにも拘らず凛として美しい彼女独特の微笑みを見せる。


(あ、いたいた。男前な彼女。)


「あー。大尉、久しぶり。
なあ、大尉も俺の悩み聞いてくれる?」

咥え煙草のハボックが見守る中、そうして男前な彼女と美人な彼氏の恋愛談義が始まった。


「気になる娘にさぁ、勇気を出して告ってみるんだけど。
いつもぜんぜんダメでさぁ。
『あなたにはもっとステキな人が似合うはずよ』なんて。
振られる方は、そんな気の使い方されたくないっつうの。」

「あら、わたしも似たような感じよ。
『あなたに僕は相応しくありません。』
ですって。態の良い断り方だわね。」

「えー、大尉みたいなカッコよい女性を振る男なんているの?」

(カッコよすぎるから、恐れ多くて付き合えねぇんだよ。)

「あら?エドワード君みたいにかわいい男の子を振る娘がいるのも不思議よ?」

(可愛過ぎるんだよ、大将は)

「いっそのこと、俺達、付き合わねぇ?」

「あら、いいわね。」




ちょうど会話もまとまったそのとき。ガタンッ、と大きな音を立てて何かが休憩室に飛び込んできた。 男前の彼女と美人な彼氏がニッコリと綺麗な笑顔で微笑み合う様に、思わずぼぉっと固まっていたハボックが振り向くと、そこには不機嫌さを隠さない上司の姿があって。


「君達が付き合ってしまったら、わたしはどうなるのかね?」


「あんたには、たくさん(女性が)居るだろうが。」
「准将には、たくさん(女性が)いらっしゃるでしょう。」






back   next