◇軍へ行く






「また君はそんな格好で・・・。此処が何処だか分かっているのかい?」
「そんな堅いこと言うの、准将だけだぜ?」

此処は何処?と問われれば、ひと言で答えられる。セントラルでは誰でも知る場所。泣く子も黙る中央司令部だ。
そして、エドワードは、テロやら凶悪犯罪やらの始末の為、すでに司令部へ5連泊しているマスタングの元へ替えの衣類を運んできたところだ。感謝こそされ、苦情を言われる云われなど・・・思いもあたらない。
が、一方のマスタングは苦りきった表情を隠さないでいた。宜しくない。まったく宜しくないぞ。エドワードよ。
おだやかでない心中からは、ふつふつとイライラが沸き起こり、わざわざ顔を見せに来てくれた同居人を喜びで迎えることが出来ないでいる。

「機嫌悪い?やっぱり忙しかった?」

目の前で小首をかしげる少女。中身さえ知らなければ可愛い少女だ。そして、その服装は、惜しげもなく細い二の腕を晒したピチピチのタンクトップ。さらに、いっそのこと潔すぎて色気も感じさせないくらいに足を露出させたデニムのミニスカート。

「君ねえ。ここは仮にも軍部だよ。その服装は風紀を乱しすぎだ。」
「は?軍服着ろってこと?おれ軍人じゃねえし。第一、荷物届けに来ただけなんだからいいじゃねえか。」
「違う。ちょっと露出度が高すぎやしないかといっているんだ。」
「夏だからいいじゃねえか。ウィンリィのヤツなんか、年中こんな格好だぜ。」
「ともかく、そんな破廉恥な服装で軍部内を歩くことは認めん。」
「誰が歩く公然わいせつかーーー!」


◇ ◇ ◇

あれ、何かに似てねーか?
少女と上司のやり取りを遠巻きに眺めながら、雑談するのはすっかりマスタング組と呼ばれるようになったお馴染みの面々で。
准将のこと?
ああ、もろに年頃の娘にうざがられる父親って感じじゃないか。

案の定、その直後に。
「マジ、うぜーし。俺帰る。」と踵を返してすたすたと歩くエドワードの背に届かぬ手を伸ばし、デスクにべったりとへたり落ちる上司の姿が見られたとか。




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