はじめて



ロリコン上司が口の減らない小さな錬金術師をお持ち帰りしたのは昨晩のこと。
隣にふらふらと覚束ない足取りの少年を従えて、これ以上ないぐらいに上機嫌で現われた重役出勤のマスタングを見て、ハボックはとうとう彼の上司が宿願を果たしたことを知った。

「しかし、ほんっと物好きだよな。あのひとも。」
自分達の前ではともかく、マスタングの前では特に生意気で不遜な態度しか見せないお子様の何処を見れば欲情するのだろうか。真っ当な嗜好を自負するハボックには、この子供に見せる上司の態度がまったく分からなかったのだ。少なくとも、自分には(多少生意気ではあるが)かわいい弟分、守るべき子供しか見えないのである。エドワード・エルリックは。

「おまえってさあ、やっぱり当分はいい女捕まえらんねえな。」
面白くなさそうの調査書をペラペラとめくっていたブレダが答える。
「どういうことだよ?」
「見る目がないって話さ。」
「は?」
「おーい、エド。こっちこいよ。」
上司はすでに有能な副官の銃口を背に執務室へと消えており、司令室の一角にある応接用ソファーにぐったりと身体を埋めている残された少年をブレダが呼ぶ。

「ちょっと、ここに立ってみ。」
いわれるがままエドワードがハボックを見上げる位置に立つと、ハボックの位置からは丁度襟元の隙間から赤い跡が覗き見えた。
ああ、ほんとにやられちまったんだなあと、可愛い弟分の貞操が奪われた決定的証拠を見せつけられ、ハボックは切ない気分になる。ただしそれはあくまで弟分を心配する気持ちでしかかったのだ。このときまでは。

「んで、足元を見て・・・そうそう。顔を動かさずにハボックのほうを見てみろ。そっとだぞ。」
何をさせられるのかまったく分からぬまま、全身気だるいエドワードは普段では考えられぬほど大人しくブレダの言に従った。言葉の通り、小さな顔を伏せてから長い睫を重力に逆らってそっと押し上げて、ハボックを見つめる。

「!!!」

「どうだ?お前の見る目のなさ、わかったろ?」
「・・・はい。修行します。」




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