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▽不実な彼氏
風呂から上がった男が先に風呂に入った同居人の隣へ腰掛けた。
ソファは成人男性が二人腰掛けても十分余裕があり、未だに大柄とはいえないエドワードにとって、男と並んで座ることに違和感はない。それよりも気になったのは男の仕草の方で。
くんくんくん。
濡れた黒髪をタオルで覆った男は、何やら自分の肩から上腕あたりにかけての匂いを嗅いでいる。くんくんと鼻を引くつかせる動作は大きな犬のようで大人に似つかわしい所作ではない。
「あんた、何してんの。」
「今日の御令嬢はずいぶん甘ったるい香りの持ち主でね。随分としつこく腕を絡められたので、移り香が消えてくれたか確認中だ。」
「やってきたんなら、シャワーぐらい浴びてから帰ってこいよ。」
「今日はしてないよ。第一、見合い相手と即日ベッドインなんて、断われるものも断われなくなるじゃないか。」
「じゃあ、最初から行かなきゃいいのに。」
「付き合いというものがあるのだよ。ん?きみ、何を。」
金色の頭がヒョコリと移動し、肌蹴たバスローブの胸のあたりで止まった。
くんくんくん。
もう、香水の匂い、しないみたいだぜ。石鹸の匂いしかしない。
鼻をひくひくさせて匂いを確認するエドワードに、男は子犬にじゃれ付かれたようなくすぐったさを味わった。
分かったからもうよしなさい。
そんな意味を込めつつ、マスタングは金色の天辺に顔を埋めて、多少の成長を遂げ子犬と呼ぶには少々障りのある元子供の匂いを嗅いでみる。
ほんのりと香るそれは自分と同じ石鹸の香りだった。
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