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■男の価値?
珍しい平日の休日。
長屋共同の水場で洗濯に精を出していると、早速、顔なじみの住人(ベテラン主婦)たちに囲まれた。若いエドワードは長屋のおばちゃんたちから見たら、世間話を繰り広げる格好の餌食なのだ。
「顔だけはねえ、いいかもしれないけど。あんな男、エドちゃんには似合わないわよ。」
「今度、あたしがもっといい男を捜してきてあげるから。早く捨てちまいなよ。」
おばちゃんたちのもっぱらの興味は、エドワードの部屋に住みついた、いかにも遊び人という風情の30男(童顔の為、もっと若く見えているらしいが)。
その男。名は、ロイ・マスタング。
つい最近まで保持していた割りと高い地位と女性受けの良い容姿のおかげで、セントラルでも(下手すると全国でも?)5本の指に入るほど有名な男だったのだが、どんな下手を打ったのか、突然軍から暇を申し渡され、軍人として支給された財産(国家錬金術師としてのものも含む)を全て剥奪された上、市中に放りだされた。
今では文字通り、一文無しなのである。おばちゃんたちからしてみれば、男の価値は今が全て。過去の栄光など、評価には値しないのだ。だから、年は若くて可愛くて、安定した職だって持っているエドワードには、職無し・金無し・甲斐性無しのマッチ男なんてつりあわない!と心から思っているわけだ。
「まあまあ、おばちゃんたち。あんなヤツでも少しは良いところがあるんだぜ。 」
我が事のように憤るおばちゃんたちに苦笑してしまう。やたらとフェロモン振りまいているあいつの顔もおばちゃんたちには無効なんだなあと思うと可笑しいから、ついついマスタングを擁護してしまったことにエドワードが後悔したのは、その直後のことだ。
「ほー、それはこのカラダかな?」
「そうそう、カラダの相性が・・・って、何言わすんだ!!!」
いかにも先ほどまで惰眠を貪ってましたという気だるげな雰囲気をまとって登場したマスタングの余計なひと言に。憤激の余り、プルプルと身を震わせるエドワードを他所に、おばちゃんたちとマスタングが朝の挨拶を交わしている。
「おはよう。マダム方。」
「随分と遅いおはようだよ。今、起きたのかい?」
「皆さんの美しい声で、眼が醒めましたよ」
話がかみ合っているのかいないのかは、微妙なラインだ。
「前言撤回だー。出ていけ、ゴク潰しー! 」
やっと言葉になった怒りをエドワードが表現すれば。
「まあまあまあ。」
と一斉に宥めるのは、おばちゃんたちとマスタング。
とある長屋の平和な光景。
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